男の人の味がするお酒
「男の人の味がするお酒はありますか?」
そんなドキリとする台詞が出てくる小説に、出会った。
10代から小説家として活躍し出し注目され、自分の容姿に過剰に反応してしまい、自分は女性ではなく男の子なのではないか? 自分という存在のカタチって…を考えつつ生きる女性が主人公。
彼女がとある分厚い木の扉のバーに入ったときの台詞。
「カクテルは本当においしかった。
冷たいグラスと、縁に付いた塩で、唇がぴりぴりした。
この先はずっと、この唇で生きていくのだ。もう以前の唇ではないのだ。」
想像するに、この「男の人の味がするお酒」はソルティ・ドッグ?
と思いちょっと調べてみたのです。
「ソルティ・ドッグ」とは「甲板員」を意味するイギリスのスラングで、甲板員が甲板の上で汗だらけになって働く様子から来ている。
材料はウォッカ、グレープフルーツジュース、塩、レモンの輪切り。
キリリとした熱いウォッカと爽やかな柑橘、そして唇、舌に触れる塩。
男くさい中にも懸命に働く、明るい海の男のイメージ。
そんな香り、私も味わってみたいなぁと感じました。
ソルティ・ドッグの香水というのは未だ聞いた事がないですが、近いイメージを持ったのがペンハリガンの「ジュニパー・スリング」。
1920年代のロンドンのムーディな空気を持つドライ・ジンから着想を得た香水。
ジュニパー以外にもほんのり体温のようなぬくもり感のあるアンジェリカルートや、ピリリとしたブラックペッパーも効いており、まさにバーに似合う香り。
私が今、男の人を感じたいときにつけたい香りはコレ。
ちなみにこの台詞が出てくる小説は、山崎ナオコーラの「私の中の男の子」。
ラストが清々しく、気持ちのよい小説で、好きです。
あなたが男の人を感じる香りって何ですか?