タンゴのような「闇を讃える」香り
さて、次はその曲「Oblivion」から、私が個人的に想起する香りをご紹介。
アルゼンチン発のフレグランスブランドFUEGUIA1833の「エロヒオ・デ・ラ・ソンブラ/Elogio de la Sombra」。
アヤメの萼片が開く…それはほんの一瞬、秘密が明かされる時間。
暗い暗い闇の中でしか育たないアイリスを主役に創作されたというこの作品。アルゼンチンの詩人ボルヘスの「闇を讃えて」という詩集からインスパイアされた香りだとか。
まさに花ではなく根っこ、光の当たらない闇の中でその「美しい香り」を育むアイリス(アヤメ)の根が主役というのがキー。
香りは、トップではベルガモットや黄色い花ミモザの可憐な印象からスタートしますが、じわじわとその闇に吸い込まれていくように儚く静かなグレー〜モーヴ色を想起させるような、霞のようなミステリアスな印象に変わってゆきます。
このFUEGUIA1833というブランドには実はタンゴをモチーフにした香りが3つあるのですが、それはどれも濃厚・華やか系で、よほどこの暗〜く存在感のあるこちらの香りの方がタンゴらしい静かなる官能を感じてしまうのは私だけでしょうか…。
(Photo From:http://www.youstockholm.com/2015/02/fueguia-1833/)
●タンゴの日とは?
1890年にアルゼンチンの国民的英雄であるタンゴ歌手カルロス・ガルデルが、その9年後にはフリオ・デ・カロというタンゴの偉大なアーティストが生まれた12月11日のを記念し【タンゴの日】となったそう。
元はブエノスアイレスのみでの記念日でしたが、2005年にアルゼンチン国会で認められ、全国規模で実施されることとなったそう。